かぎ針編み英文パターンにでてくる記号の種類と働き
かぎ針編みの英文パターンでは繰り返し編む部分や特別な指示がある場合に( )カッコや*アスタリスクなどの記号が用いられます。
(カッコ)や[ブラケット]、*アスタリスクなどよく出てくる記号はそれぞれ役割が決められています。ほとんどのパターンはこの法則にそって書かれているのでパターンを読むヒントになれば幸いです。
日本のように編み図で表すことが一般的ではないので、文字だけで書かれたパターンを簡単に理解する手助けのために様々な記号が使われています。
記号の働きを見てみましょう
例えば、以下のようなパターンがあるとします。わかりやすいように日本語で書いてみますね。
2段目:
細編み10,長編み10,細編み10,長編み20, 細編み10,長編み10,細編み10,長編み20、細編み10,長編み10,細編み10,長編み20,細編み10,長編み10,細編み10,長編み20(200)
文字だらけで追っていくのが大変ですよね。
これをこれから説明する記号を使って示すとこうなります。
2段目:
[細編み10,長編み10,細編み10,長編み20] 4回繰り返す。(200)
はい!1行で終わりました。
この例で使った記号は[ ]ブラケットという記号です。
繰り返しの指示を回数と共に記載するときに多く使われます。
この例のように記号を使うことでパターンをわかりやすくする働きがあります。
記号を組み合わせることによって複雑なパターンも短い文章で伝えることができます。
ここから先は英文パターンの例文を使って記号ごとに説明していきます。
かぎ針編みパターンにでてくる記号の種類と働き
1.( )カッコ
カッコ内に書かれた指示を特定の場所(段・目・スペース)などで行う・行われたことを表しています。( )内の指示のすべてを特定の場所で行います。「そこに!」「ここで!」というイメージです。繰り返しの指示に使われることもあります。
例:
特定の目に対する指示の例
(3dc, ch2, 3dc) in next st
次の目に(長編み3,鎖編み2,長編み3)を編みいれる。
特定のスペースに対する指示の例
(2dc, ch3, 2dc) in next corner sp
次の角のスペースに(長編み2,鎖編み3,長編み2)を編む。
1段や1周に何目編んだか/編むかを示している例
(48 dc)
長編み48目がその特定の段/周にある。
特定の目に対する指示と1段に何目編んだか/編むかを示している例
ch 1, sc 7, sc2tog, sc 2; turn. (10 sts)
鎖編み1目、細編み7目、細編み2目一度、細編み2目(10目)
≫立ち上がりの鎖をカウントするかどうかはパターンの最初に書かれています。
衣類等のサイズが違う場合にそれぞれの目数を指示する例
(88 [94, 106, 112] sc)
英文パターンでは異なるサイズの必要目数を一つのパターンの中で表すことが多いです。
これは例えば、細編みをSサイズ:88目、Mサイズ:94目、Lサイズ:106目、XLサイズ:112目編むということを示しています。
パターンの最初に何についての指示か書かれています。
特定の段・周の表/裏について指示する例
Row 1 (RS): – indicating front of work
1段目:表側
≫裏側を見て編む際には(WS)と表記されます。
2.[ ] ブラケット(大カッコ)
[ ] 内の指示を繰り返すことを示します。多くは回数の指定があります。主に段の途中での繰り返しの指示に使われます。追加の情報やわかりやすく表記するために使われることもあります。( )や後述する*アスタリスクと同じように使われることもあります。
例
指示を繰り返す例
[dc in next dc, sc in next ch-1 sp] 5 times
[次の目に長編み、その次の鎖1目のスペースに細編みを編む]を5回繰り返す。
特定の場所まで指示した編み方を繰り返す例
[dc in each of next 3dc, shell in next shell] across to next corner
[次の3目に長編み、次のシェル編みにシェル編み]を次の角まで繰り返し編む。
( )と併用され繰り返しの指示をする例
[(3 dc, ch 2, 3 dc) in next ch2 sp, ch 1, 3 dc in next ch1 sp, ch 1] 3 times
[次の鎖2目のスペースに(長編み3、鎖2,長編み3)を編み入れ、鎖編み1目、次の鎖編み1目のスペースに長編み3目編む。]
[ ]で囲われた範囲を3回繰り返し編む。
複数の仕上がりサイズを示す例
Child’s 2 [4, 6, 8]
子ども用 2歳・4歳・6歳・8歳
( )が使われることも多くあります。
複数のサイズに対する行数・周数の指示の例
Rows 29–36 [31–38, 31–40]
これは例えばSサイズ:29段から36段、Mサイズ:31段から38段、Lサイズ:31段から40段で何かしらの手順を繰り返し編むことを指示しています。
複数のサイズに対する追加指示の例
Sc in each of next 4 [5, 6] sts
細編みを次の4目[5目、6目]に編む。
例えばSサイズなら4目、Mサイズなら5目、Lサイズなら6目編むということです。
3.{ } 中カッコ(ブレース)
繰り返しの指示を表します。( )や[ ] の中に入って使われます。使用頻度はそんなに高くありません。
例:
繰り返しの指示の中での繰り返しを示す例
[dc in each of next 3 sts, {shell in next ch-1 sp} twice] 4 times
[次の3目に長編みを編み、{次の鎖1目のスペースにシェル編み}2回編む]ことを4回繰り返す。
繰り返しの指示の中で複数種の繰り返しを示す例
[{ch 5, sc in next st} twice, ch 5, sk next dc, dc in next dc, {ch 1, dc in next dc} 6 times] twice
[{鎖編み5目, 次の目に細編み} を2回編んだ後に, 鎖編み5目, 次の長編みを飛ばし、次の目に長編み, {鎖編み1目, 次の6目に長編み} を6回編むこと] を2回繰り返す。
特定のスペース内での繰り返しを指示する例
({hdc, ch2} 5 times, dc) in next ch-2 sp
次の鎖2目のスペースに、{中長編み,鎖編み2目}を5回編み、長編みを1目編む。
≫( )が使われているので「次のスペース」で繰り返すことが書かれています。
特定のスペースでは同じように編むことを指示する例
({hdc, ch2} 5 times, hdc, ch 3, {sc, ch 3} twice, sc) all in corner sp
全ての角のスペースで、({中長編み,鎖編み2目}を5回編み、中長編み、鎖3目、 {細編み, 鎖編み3目}を2回編み、細編みを編む)ことを繰り返す。
4.* アスタリスク
とてもよく使われる記号です。
* アスタリスクに続く手順、もしくは二つのアスタリスクに挟まれた範囲の手順を指示に従って繰り返し編むことを表します。
1段に渡っての繰り返しに使われることが多いです。
通常、アスタリスクの前にあるものは 1 回だけ編み、アスタリスクに続いて繰り返しの手順が書かれます。
多くは「段の終わりまで」や「希望の長さになるまで」などに用いられます。。
( )や[ ]と同じように使われますが、繰り返しの回数の指示がない場合が多くあります。回数の指示が書かれているかいないかは、デザイナーさんの好みや書き方のくせに依るところなので、どちらが正しいといったことではありません。
[ ]や{ }よりも広い範囲のイメージです。
例:
段の途中から繰り返しが始まることを示した例
Ch 1, sc in first sc, *ch 1, sk next ch-1 sp, dc in next sc, rep from * across
鎖編み1目、最初の細編みに細編み、*鎖編み1,次の鎖1目を飛ばし、次の細編みに長編みを終わりまで繰り返す。
≫「鎖編み1,次の鎖1目を飛ばし、次の細編みに長編み」の部分だけを段の終わりまで繰り返し編むということです。
1周繰り返し編むことを示した例
*Sc in each of next 2 sts, 2 sc in next st, rep from * around
*続く2目それぞれに細編み1目ずつ編み、次の目に細編み2目編む*
*から*を繰り返しぐるっと(1周)編む
1段繰り返し編むことを示した例
Ch 1, *(sc, dc, tr, dc, sc) in next ch-2 sp, ch 2, sc in next hdc, ch 2, rep from * rep from * to the end of the row.
鎖編み1目、*次の鎖2目のスペースに(細編み、長編み、長々編み、長編み)を編む、鎖編み2目、次の中長編みに細編み、鎖編み2目*
*から*を段の終わりまで繰り返し編む。
段の途中から小さい範囲の繰り返しが始まり、大きい範囲の繰り返しを編み、その後に手順が続く例
sc in each of next 4 sc, *[2 sc in next sc, sc in each of next 3 sc] twice, 2 sc in next sc*, rep between * twice, sc in each of next 5 sc,
次の細編み4目それぞれに細編みを編み、*[次の細編みに細編みを2目、次の細編み3目それぞれに細編みを編む]を2回編み、次の細編みに細編みを2目編む*
*から*を2回繰り返す。次の細編み5目それぞれに細編みを編む。
≫ブラケットで囲まれた部分(小さい)[次の細編みに細編みを2目、次の細編み3目それぞれに細編みを編む]を2回編んだあとに、*アスタリスクで囲われた部分(大きい)を2回編むという順です。その後に細編みを5目編みます。
5.** ダブルアスタリスク
繰り返しの手順の中の一部分(手順)を指示するために使われます。
アスタリスクのように**と**で囲って使う場合もあります。
例:
繰り返しの中の一部分が段の終わりになることを示した例
dc in first st, *ch 2, sk next st, 2sc in next st, ch 2, sk next st**, sc in each of next 5 sc, rep from * around, ending last rep at **
次の目に長編み1目、*鎖編み2目、次の目を飛ばし、次の目に細編み2目、鎖編み2目、次の目を飛ばし**、次の細編み5目それぞれに細編みを編む*
*から*を繰り返しぐるっと編んでいき、最後は**で終わる。
≫*から*を繰り返して編みますが、最後の繰り返しの時には、「**」の手前のパートである「sk next st」次の目を飛ばす、ところで終わるということです。
繰り返しの中の一部分が段の終わりになることを示した例
dc in first st, *ch1, sk next st, 3 sc in next st, ch2, sk next st**, 2 dc in next st, rep from * around, ending last rep at **
最初の目に長編みを編み、*鎖編み1,次の目を飛ばし、その次の目に細編み3目、鎖編み2目、次の目を飛ばす**次の目に長編みを2目編む。
*から先をぐるっと繰り返し編み、最後の繰り返しでは**で終わる。
≫*から先を繰り返し編みますが、最後の繰り返しの時には「**」の手前に書かれている【「sk next st」=Skip next Stitch=次の目を飛ばす】部分で終わるということです。
お読みいただきありがとうございました
文字ばかりで大変でしたね。お疲れ様でした。
英文パターンは英語力というよりは暗号解読に似ていると思います。
略語も多く使われるので言葉を当てはめていくことで解読することができますよ。
文章で書かれているからこそ「次の長編み」になど「編む目」について言及されているのも編みやすい要素であり、間違いに気が付きやすいポイントだと思います。
示された手順を繰り返し編むときは、手順のブロックごとにステッチマーカーなどを利用して回数を間違えないように気を付けると良いと思います。
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